人工知能(Artificial Intelligence, AI)テクノロジーとサイバーセキュリティ攻防の自動化を得意とするCyCraft社は2019年9月2日、 シリーズBラウンドで、シンガポールと台湾に拠点を置く投資会社、 パビリオン・キャピタルとCIDグループから総額565万ドルの資金調達を実施したと発表した。 同社はこれをAI制御による自動サイバーセキュリティの研究・開発費と、 アジア市場での拡大資金に充てる。 今回の調達よりシード、 シリーズA、 シリーズBの累計調達額は815万ドルとなる。
CyCraft はまた、 CyCraft AI SecOps Platform(AI 主導型セキュリティ運用プラットフォーム)の正式リリースを発表。 このプラットフォームにより、 台湾・日本・東南アジアなどのサイバーセキュリティ・サービス企業がAI 主導型のサービスを提供することが可能になる。 同プラットフォームは大きく3つの製品からなる。
1つ目の Xensor はフォレンジックとレメディエーションの双方に対応している、 軽量で高度なエンドポイントエージェント。 2つ目の CyCarrierは、 サイバーキルチェーンを積極的に脅威ハンティングするAI機能及び高速対応のための高効率なUI/UXを持つコックピットだ。 AIが副操縦することによって効率的に状況を視覚化し、 攻撃の侵入経路を高い自動化でまとめ上げ、RootCauseを捜し出す。同時に各経路ステップで、MITRE 社の ATT&CK フレームワークへのマッピングを行い、アナリストの認知及び調査を加速させる。
そして、 3つ目のCyberTotalは脅威インテリジェンスの収集及び整理を自動化するプラットフォームである。世界20近くのソースから集めたセキュリティ情報をアナリストがIOCの深刻度について瞬時に判断できるように整備されている。またCyCarrierへのIOC提供により、常に最新の情報に基づいた脅威ハンテイングを可能としている。
パビリオン・キャピタルのチーコン・チョウンは、 「サイバーレジリエンシーのための革新的な人工知能の研究・開発に強いCyCraft は、 サイバーセキュリティ業界を席巻する大きな変化の最前線にいる」と述べた。
また、 CIDグループのスティーブン・チャン会長は、 「技術破壊の時代において、 サイバーセキュリティはあらゆる産業にとって差別化のカギとなる。 CyCraftの直近18ヶ月間のパフォーマンスは、 同社のビジョンとテクノロジーへの注力を示すものだ」と語った。
CyCraft(サイクラフト)は、AIによる自動化技術を専門とするサイバーセキュリティ企業。2017年に設立され、台湾に本社、日本とシンガポールに海外拠点を持つ。アジア太平洋地域の政府機関、警察・防衛機関、銀行、ハイテク製造業にサービスを提供している。CyCraft の AI技術 と機械学習技術によるソリューションが評価され、CID グループ とテマセク・ホールディングス旗下のパビリオンキャピタルから強力なサポートを獲得し、また、国際的トップ研究機構である Gartner、 IDC、Frost & Sullivan などから複数の項目において評価を受けている他、国内外の著名な賞をいくつも受賞している。また、国内外を含む複数のセキュリティコミュニティ、カンファレンスに参画し、長年にわたりセキュリティ業界の発展に尽力している。